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研究レポート1:はんこ屋さんの仕組みを探る。

*ビジネスアプローチ研究のカテゴリでは、注目の業種や出来事などの研究をレポートをしてまいります*

 

いわゆる町のはんこ屋さん。個人店や、目立つ看板を掲げてチェーン展開しているお店も見かけます。

実は、はんこ屋さんはしっかりと利益を上げているようです。はんこ屋さんの売上の手段や優位性とは一体どのようなものなのでしょうか。

 

《はんこ屋さんの儲けの仕組みとは》

 

①【手段】業態化

「はんこ」そのものの売上は3割程度。他には名刺、年賀状、カレンダーなどの印刷する事務用品、さらには看板、のぼり、といった特殊なものまで扱ってます。業態化(→近い領域で業務を広げる事)で利益を上げています。

食品のように「在庫が腐らず」、洋服等のように「流行がない」のも優れた点です。在庫の長期保管やロス機会が少ないというメリットがあります。

 

②【強み】情報の上流にいる

頻繁に買う機会のないはんこでも、必ず買う人達がいます。それは「新設企業」です。

新しく会社を起こせば、法務局に登記を登録するにも、銀行に口座を開設するにも実印が必要になりますね。代表者印や社判…結構な値段のする物です。2014年の日本の会社新設数は約10万件。(ちなみに日本の起業家の割合は主要国の中でも最低ランクの20位) その「情報が真っ先に来る」のが、はんこ屋さんという訳なのです。
新しい情報が飛び込んでくるとは…羨まし!

 

③【手法】強みを活かす

会社を立ち上げるのに、まずは必要なはんこを買いに行く。何かと忙しい時だけど他にも取り揃えなければいけない。そんな時に名刺などの事務印刷品があれば、ついでに頼んでおこうとなりますね。看板やのぼりもあるのも納得です。「情報取得の優位性」というはんこ屋さんの【本質】があるからこそ、「業態化」という手段が活かされています。

はんこは結構高い物。実物を見て決めたいというお客が多いので、実店舗である事もポイントです。とあるチェーン店ではWebサイトも運営してますが、実店舗での売上の方が、かなりを占めてるようですね。

 

《今後の展開を提案してみる》

はんこ屋さんの強みがわかってきましたが、他にはどのような展開方法が考えられるでしょうか。
もしかしたら実際取り組まれてるかも知れませんが、何点か考察し挙げてみましょう。

 

①店舗を持たず訪問販売

 もし、はんこ屋さんの店舗数が増えていけば、優位性は平均的になる、つまり優位ではなくなっていきます。となれば、他のお店より一歩進むという案が考えられます。「行くのが面倒」というニーズに応えるため、こちらからお客に向かうという方法です。Webサイトなどでオムニチャネル化(色んな方法で顧客と接点を持つ戦略)し、対応エリアを絞って訪問するのはいかがでしょうか。

 

②高齢者の株式会社設立のサポート

 日本の個人金融資産の60%は60歳以上が保有すると言われてます。その方々に「遺産相続にも税金がかかるが、株式会社設立で資産を上手く相続した方がお得」という意識改革的な流れを作るのも手段ではないでしょうか。
とはいえ、特に頑固な高齢者の方々は、若ぞう(?)の達の提案に耳を傾けるのでしょうか。指摘役には、特に甘いとされてる「お孫さん」が適任かもしれません。まごパワーが発揮される時かもしれません。

 

③既存の情報を活かす

社印も作るくらいなのですから、住所や電話番号はもちろんの事、役員昇格のタイミングまでも把握できているかも。既存顧客の売上アップのチャンスを見逃す手はありません。お祝いレターを送るなどし、日頃から関係性を築き上げます。

 また12月~4月は年賀状や新設時期で忙しく、比較的時間が空くと思われるな8月に動くと効率的と言えそう。②での株式会社設立を狙い、夏休みの子供達と接するイベントを企画してみたり。

 

《まとめ》

 自社の持つ本質的な強みを理解し、適切な手段を取り、しっかりとした利益確保に繋げる。はんこ屋さんは興味深い業種です。
複数の強みを掛け合わせて築き上げていけば、一つの強力な武器となり、ライバルとの差も出せていけるのではないでしょうか。

 

以上で研究レポートを終了いたします。

 

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