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SWOT分析の「機会、脅威」素材の見つけ方の例。【イケてる町工場】とは何か?

 

SWOT分析とは?

企業が持っている「強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」と、企業の外側にある出来事「機会(Opportunities)」「脅威(Threats)」の四つから分析を行う方法です。
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今回の目的 

「機会とか脅威とか、どうやって見つけたらいいかわからない。」

機会(O)と脅威(T)は、外部の要因。

「いま、世の中の流れはどういうものか?」について

・いかに自社に近い情報を

・どれだけ把握できるか

が、分析の精度に関わってきます。

 

今回は、記事には書かれていない「裏側部分」を読み解き、世の中の流れを把握するやり方について実際に取り組んでみます。

 

取り上げる記事

記事:イケてる町工場

参照:日経MJ(2017年10月6日)
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「イケてる町工場」の持つ意味とは何か?先に結論を言うとズバリ

「エリートサラリーマンを目指すのも不安な世の中になってしまった」からこそ当てられたスポットだと言えます。

ではその結論にたどり着くのに、記事をどのように読めばいいのでしょうか。

 

記事の読み取り方

内容は「導入部分」「3つのパート」「まとめ」に分かれてます。まずはそれぞれのポイントと要約をするのに、分類考察という分け方を使います。

こちらの記事もご参考にどうぞ↓

www.daishibass.com

 

下記、6つのポイントを抜き出します。 

本質…オレンジ

なぜ?の部分で、ある意味でスタート地点となります。

目的…ピンク

目的、目標などの到達したい場所、ゴール地点です。

手段…みずいろ

目的、目標に対してどんな手を使っているか。戦略部分です。

手法、テクニック…きいろ

手段などをさらに掘り下げた部分です。

強み・機会…みどり

取り組んだ結果の良い部分。

外からの要因で追い風となるもの。

弱み・脅威…むらさき

取り組んだ結果の悪い部分。

外からの要因で、向かい風となるもの。

 

では、記事のポイントを絞っていきましょう。

 

導入部分

地味に思える町工場のイメージは大きく変わる

 →「なぜイメージが変わっているのか?」「どのように変わったか?」

  そこに本質が隠れていそうです。

いま、遊びにいくなら「イケてる町工場」

 →遊びの目的地として選ばれる(のはなぜか?)

 

パート1【芸術イベント鉄工島フェスについて】 

こちらは本文を要約してみましょう。分類したあとの要点をまとめました。

要約: 

羽田空港の近くにある孤島、京浜島は住民一人という工業地帯です。ここで1日、音楽やアートのイベント「鉄鋼島フェス」が行われました。中小企業の魅力を伝えるため、日本の町工場を音楽レーベル化する「インダストリアルJP」。手掛けた音楽は、工場内で響く金属音をクラブ音楽に取り入れようというのがテーマとなってます。プロデュースした下浜さんは「同じリズムを繰り返してトランス状態になるリズム音楽と工場の作業音の相性は良い」と話します。

「製造業が衰退気味な中で、もっとこういう取り組みが広がれば良いのに」といった声も上がります。小学5年生の子は「眠かった」と、ちょっと難しいようでした。

 

パート2【あだち工場男子というイケメン写真集】

今度はパート1のような要約するにあたり、

元のポイントとなった部分を挙げてみます。

 

イケメン男性を紹介する写真集「あだち工場男子」

 →出版した「しまや出版」の手段

イキイキ働いていることを知ってもらいたかった

 →出版した「しまや出版」の目的

地域で町工場を盛り上げようとする足立区役所

 →「写真集の賛同者」という機会

写真集を見て、こうなりたいという人が出てくるかも

 →「町工場が好印象」という機会

 

パート3【YOU TUBEでの存在感の高さ】

武田金型製作所が製作する、ネットで話題の「マジックメタル」。

一見何の変哲もない金属の板から、側面を押すとくりぬかれた金属の文字が飛び出てきます。

こちらのパートも、ポイントを抽出していきます。

 

職人の技術力の高さ

 →強み

誰もが納得する、高い精度

 →強み

マジックメタルの動画

 →手段

展示会向けに技術力を示すため

 →武田金型製作所の(当初の)目的

見学をしたいという依頼が増える

 →世間の好印象という機会

金型は数万円では買えない

 →弱み(金型を販売するという手段を考えたとき)

 

まとめ部分

こちらもポイントを抽出します。

ワクワク感満載

 →町工場の本質的な魅力

あまり足を運ばない工場地帯

 →弱み(アクセスを考えた場合)

 

記事を一通り読み、色分けはこのようになりました↓
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記事の背景を推測する 

注目は、「こうなりたい」と思われたり「動画で高評価」を得たり。と、「イメージが大きく変わった」ということ。

言い換えれば、イメージが変わる前のことがあった。

では、イメージが変わる前にはどんな職種が「こうなりたい」と思われていたのか?町工場とは対照的に、世の中に目が向けられていたものは何か。

 

それは、「大企業に入れば安泰」ということだったのではないでしょうか。「エリートサラリーマンの道」、「終身雇用」とも言い換えられます。

勉強していい大学に入って、いい企業に入る。もちろん今でもその流れは主流ですが、「終身雇用」という道筋を目指すことは、今や安心しきれるものではなくなっています。

「職人芸を極める町工場」という、ある意味で対極の位置。

その対極の位置にスポットが当たるというのは、「今まで目指されていたエリートサラリーマンの道への不安の高まり」(=終身雇用の不安)から生まれた。と考えられます。

 

町工場とはなにか

では、「町工場」という意味はなんでしょうか。

職人芸・・・すなわち、伝統。

伝統というものを持つ、他の業態で参考になるものは・・・

例えば浅草の人力車であったり、日本の城、神社、なども伝統的なものです。

これらが共通することには、「文化的資源になる」ということ。観光資源とも言い換えられます。

つまり「遊びに行くなら町工場」というのは「文化的資源」としての価値がある。という意味合いがあるのです。文化的資源としての価値になったのは「外からの要因」によるものなので「機会」です。

観光地として家族をターゲットにするなら、子供も楽しめる手段を考える必要がありそうです。地元の協力や応援の声も心強そうですね。つまり「弱み×機会」の対策となる部分です。

 

まとめ

今回の目的である「SWOT分析の素材」 をどうやって見つけるか。

「変わった」ものごとの、「対称となるもの」が何かを探る。

取り上げたもの(今回なら町工場)の本質を、似たような事例から探る

 

さらにSWOT分析の「機会、脅威」へと繋げるなら、「経済の不安が高まれば、文化的資源性の高いものに目が行きやすい。」というポイントをつかんでおけばよい。ということになります。

 

町工場のような存在がまだこの先も出てくるだろうと考えられますので、そこに向けた次の一手を考えても良いかもしれません。

つぎの「文化的資源化」となる存在は何か?

手仕上げクリーニング職人さんは、どうでしょうか。

 

現在では「観光大国として成長している」という流れもあります。「町工場へ遊びに行く」というのは、まさに現代の流れを組んでいる出来事と言えるでしょう。

◇ ◆ ◇

今回使用した、6色蛍光ペンはこちらです↓

 

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