「ものごとの核心に迫る」とはどういうことなのか。知る為の具体的な方法とは?
世の中の出来事を知れるということが、こんなにもありがたいことだったのですね!
人知れず大変な努力や思いが行動に結びつき、情報という繋がれる形になり、届けられてるということを本書から知ることができます。
【質的社会調査の方法】

質的社会調査の方法 -- 他者の合理性の理解社会学 (有斐閣ストゥディア)
- 作者: 岸政彦,石岡丈昇,丸山里美
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2016/12/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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本書を知るキッカケとなったのは、TBSラジオニュース番組である荻上チキさんの「Sessionー22」からでした。
sessionー22はおススメのラジオニュース番組です♪
こちらの記事にてどうぞ↓
「フェイクニュースが飛び交う今、現実をつかむための《社会調査》のすすめ」という回で「量的社会調査と質的社会調査」が取り上げられました。
「社会調査」って実際にはどういう調べ方をするんだろう?
ラジオを聞く前、本を読む前に私は(量的って「統計取る」といった感じかな?質的は「個々に深く聞いていく」のかな??)というイメージがありました。
本書を読まれる方は、社会学といった質的調査の学問を専攻した学生さんや、実際に調査を職業として行っている方々かと思います。
「質的」も「量的」も、突き詰めると境界線が難しいようなのですが、それでもあえて個人的な意見を言うと「調査する対象の心的な核心に迫る」のが質的調査ではないでしょうか。
一回深く調査して理解できるようなことでなく、調査してからまた新たな疑問が生まれたり、調査抜けがあったことに気づけたりして…
また改めて聞いて、新たな疑問が生まれて…
地を這いまわるかのように探し探して、やっと見えてくるようなもの…というような地道な努力の連続なのだなと本書を読んで知りました。本当に、恐れ入る努力とはこのようなことではないかと、感じます。
私たちに届くころのニュースなどの情報とは、こんなにも影なる努力のあってのありがたいものだったなんて。。。取り上げられたニュースに対してミーハーにあれやこれやと騒ぐのが少し恥ずかしくもなりました(汗)
例えば「Aさん」を取り上げるとして、自身の価値観を持って結論付けるのではなく、「Aさんが向き合っている世界から、Aさんがどのように感じ取って、何を最適として選択をしているのか。」
Aさんが行っている事を「意思」や「目的」ということで捉えるのではなく「社会から受けたものへのレスポンス」や「アンサー」という受け身的な一面をとらえるほうが核心をつくのではないか。そんな風にも感じます。
言葉というコミュニケーション方法の持つもの
調査をする側もまた「言葉によるコミュニケーションの限界」に挑んでいるかもしれません。
「感じとったことを正確に言葉に変換する」って、ものすごく難しいことではないでしょうか?
それでも伝える手段が言葉しか無いなら、極力近しいところに表現を持っていくしかない。そんなジレンマをとても深く感じているのが、最も近くの人…つまり調査する人なのだと思います。
「核心を突くことを聞く」という行為は、もし「こころの傷に迫る」ことがテーマだったら、「聞いた方も傷を追う」ようなすごく近い位置にいれるからこそ聞き取れるのかもしれません。
相手をリスペクトする。
そして聞く。
どういう心持ちで他者と接すべきか、本書を読んで考える機会になりました。
「質的社会調査」を学んでいらっしゃる方に、ぜひとも読んでみていただきたい本です。