要約とは「文章のポイントを押さえ、短くまとめる」ことをいいます。また、伝える相手にわかりやすいものが望まれます。
「新聞社説」を具体的にどのように要約するか。今回は、6色蛍光ペンを使った要約をご紹介いたします。
6色蛍光ペンの使い方は、石川秀樹氏の「6色蛍光ペン塗り分け勉強法」をもとにしています。
経済学の概念がわかりやすくなる勉強法で、インプットの効率がとてもあがる秀逸な方法です。理解度が格段に上がり、取り上げるテーマのポイントが掴みやすくなります。

6色蛍光ペンでわかる経済―「思考パターン別・塗り分け勉強法」で経済・ニュースを理解する
- 作者: 石川秀樹
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2004/05
- メディア: 単行本
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社説を要約する「ゴール地点」は
社説とは何かというと、新聞社の「意見や主張」です。
「新聞社の意見」ということを踏まえて、「社説を要約するゴール地点」を「新聞社がその話題に対して何と意見しているか」とします。
新聞社の立場とは
ちなみに今回取り上げる「朝日新聞」さんの取る立ち位置は「政権にモノ申しますよ」というリベラル側です。
新聞社は必ずどこかしらのポジションにいるので、悪い意味ではなく「偏っていない新聞社はない」ということを念頭において置くと理解が早くなります。
蛍光ペンの色をどう分けるか
社説にはどんな意味のことが書かれているのか。記事に色分けして理解を深めるために、6色蛍光ペンを使って色分けをします。
結論…オレンジ
今回は「新聞社としての結論」となります。
定義…ピンク
「言葉の意味」を示します。認識をあいまいにさせないための、大切な部分です。
意見…みずいろ
ニュースに対して「新聞社が何と言っている」か。結論に導くための部分とも言えます。
分析…きいろ
ニュースや意見の、「具体的な説明」といった詳細部分です。
良い点…みどり
意見や行うことについて、良かった部分です。
悪い点…むらさき
意見や行うことについて、悪かった部分です。
今回使う6色蛍光ペンはコクヨの「ビートルティップ・デュアルカラー」です。

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ペン先がカブトムシのようになっている2色タイプです。持ち運びに「かさばらない」のでベンリです。
薄い色がお好きな方には、こちらの「ソフトカラータイプ」はいかがでしょうか↓

コクヨ 蛍光ペン 2色蛍光マーカー ビートルティップ・デュアルカラー ソフトカラー 3本6色セット PM-L313-3S
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主張しすぎない優しいカラーなので「普通のタイプではちょっと色が濃いな」と思っている方におすすめです。
取り上げる記事
2017年10月20日(金)
朝日新聞・社説「圧力だけで突破できぬ」
記事の要点:
明後日22日に行われる衆議院選の争点として、安倍政権は北朝鮮問題を「国難」とし圧力をかけ続ける方向を示しているが・・・
要約ポイントを色分けする
まずは一度全文を読み、「結論」と「意見」を抜き出してみましょう。
色分けをしていきます↓
1.結論(オレンジ部分)
・新聞社の結論はタイトルでもある「圧力だけで突破できぬ」
2.意見(みずいろ部分)
・北朝鮮問題は、党対立としてでなく皆で検討することなのに、わざわざ選挙する理由にした首相の考え方を疑う。
・長い時間をかけても平和的に解決していくことが、政治に何よりも求められる。
・いままでの経緯をみる限りでは、圧力を強めるだけで北朝鮮の態度を変えるのはとても難しい。
・「圧力だけ」っていう安易な一本調子は禁物。
この部分だけでも、要約がかなり完成に近づきそうです。
次に「結論」や「意見」を補足し、読む人にも要約の根拠がわかるような文章の肉付け部分を抜き出します。
論点や出来事などの「良い部分」と「悪い部分」、このようになります↓
3.良い点(みどり)
・かつて中国が一時的に燃料供給をやめたら、北朝鮮が対話に応じた。ということを成功体験として挙げている。
4.悪い点(むらさき)
・圧力と並行させるべき交渉への方策が見えない。
・北朝鮮問題は、関係国の利害や地政学的な力学が絡む
(地政学については、こちらの記事をどうぞ)
意見の根拠となる部分が見えてきました。
残りの「言葉の定義」と「分析」も抜き出してみましょう。
5.定義
「国難」の一つは、今の北朝鮮問題。
6.分析
・(選挙の争点に対して)北朝鮮に制裁をすることなどは野党も含めて最初から異論がない
・(安倍首相に対して)平和的な解決にどう繋げるかを語らないなら、「危機をあおって選挙を有利にしたい狙いがあるんでしょ?」と、疑われて当然。
・(過去、中国の制裁によって北朝鮮が対話に出てきたことに対して)研究者の間で、それが圧力に屈していたかどうかの見解が分かれている。
・(中国の今後に対して)圧力を加えすぎて、「中国が持っている北朝鮮への影響力」が弱まってしまうことも考えられるので、中国の行動にも限界がある。
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要約をまとめる
ここからピックアップする内容を選び、要約をまとめていきます。
①テーマ決め
「圧力だけでは突破できぬ」 …タイトルをそのまま使います。
②パーツ選び
③パーツの並べ替え
今回は②と③を一気に進め、以下のように4つのパーツとなりました。
(1)関係国の利害や地政学的な力学が絡む難しい問題なのに、圧力一本という安易な考えは禁物だ。
(2)経済制裁を加えることに初めから各党の異論は無い。党派を超えて検討すべきことなのに、選挙の理由にした首相の見識を疑う。
(3)過去、中国の燃料制裁が北朝鮮の対話につながったように見えるが、本当に圧力に屈していたのかは研究者の間でも意見が分かれる。
(4)圧力と並行させるべき交渉の方策が見えないのが問題だが、長い時間を費やしてでも事態を平和的にしずめることが、何よりも政治に求められる。
④文章の構成チェック
パーツの並び替えをして、文章の構成を以下のようにしました。
(2)→今回のやり方に対しての説明と意見。
(1)→タイトルでいう「結論」に対して元となる意見。
(3)→(1)に対しての根拠。
(4)→付け足される問題点とその意見。
⑤全体のチェック
「誰に」「何を」を分かりやすくするため、(2)は「北朝鮮への」を加えて「選挙」を「衆院選」に変えます。
北朝鮮への経済制裁に各党の異論はなかった。党を超えて検討することなのに衆院選の理由にした首相のやり方を疑う。
他のパーツも同様に見直していきます。
要約の完成例
実際にできた例を確認してみましょう。
テーマ:《圧力だけで突破できぬ》
要約文(200文字):
北朝鮮への経済制裁に各党の異論はなかった。党を超えて検討することなのに衆院選の理由にした首相のやり方を疑う。
関係国の利害、地政学的なことが絡む難しい問題に、圧力一本という安易な考えはどうか。
過去、中国の制裁が対話に向かせたという成功体験を挙げるが、圧力に屈していたのか研究者の間では意見が分かれる。
圧力と並行させるべき方策が見えないのも問題。長い時間をかけてでも平和的に鎮めることが政治に求められる。
ポイント:
「社説は意見」を踏まえて要約すれば、上記の通り「意見が絡む」ことを意識させた要約にすることができます。
別案例:
「朝日新聞は政権批判の立ち位置」という新聞社のカラーを押し出すなら、下記のフレーズを(3)の「過去、中国~意見が分かれる」と差し替えます↓
首相が平和的な解決につなげる道筋を示せないなら「危機をあおって選挙を有利にさせたい狙いだろう」と思われるのは当然だ。
※(首相の見識を疑う)の分析箇所です。あくまで「自社の意見じゃなくて、そう思われますよね」としているところがまたアレですね。。。
まとめ
・テーマの本質を理解する
・文章の意味を6つに分け、蛍光ペンで色分けする
・5つのステップで要約する
その文章がなんのテーマについて書かれているかわかれば、要約も何パターンか選べるようになります。それこそが理解力が高まっている状態と言えるでしょう。
◇ ◆ ◇
当ブログにはこんな記事もあります↓
6色蛍光ペン使うなら…どれがいいかな?
「6色蛍光ペン頂上決定戦!」白熱のガチンコ対決の様子はこちらの記事にて↓
新聞に対して、こんないじり方ができる芸人さんがいたなんて、衝撃です↓